旅のテーマ

日本三大名瀑とは

華厳ノ滝、袋田の滝、那智の滝。高さは97m、120m、133m。湖の出口が削れてできた滝、岩壁を四段に伝う滝、社の御神体そのものである滝と、成り立ちは三つとも違う。

日本三大名瀑は、栃木県日光市の華厳ノ滝、茨城県大子町の袋田の滝、和歌山県那智勝浦町の那智の滝を指す。日本三名瀑、日本三大瀑布とも呼ばれ、いずれも同じ三つを指す。三つとも国の名勝に指定されているが、水の出どころも岩壁の形も、滝と人との関わり方も揃っていない。この三つを並べた呼び名がいつ生まれたのかも、はっきりしていない。

日本三大名瀑 一覧(北から南へ)

滝名 所在地 見どころ
華厳ノ滝 栃木県日光市 落差97m。中禅寺湖から流れ出た水がそのまま岩壁を落ちる。平常時の幅は7mほどで、水の柱が一本立つように見える。有料のエレベーターで谷底へ降りると、滝壺を正面から見上げられる。
袋田の滝 茨城県大子町 高さ120m・幅73m。久慈川支流の滝川が岩壁を四段に分かれて伝い落ちるため「四度の滝」とも呼ばれる。長さ276mのトンネルを抜けて第1観瀑台へ、エレベーターで上がる第2観瀑台からは全景が入る。
那智の滝 和歌山県那智勝浦町 落差133m、銚子口の幅13m、滝壺の深さ10m。毎秒1トンの水が落ちる。滝そのものが飛瀧神社の御神体で、社殿を持たない境内の滝見台から仰ぐ。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産。

三大名瀑と呼ばれる背景

三つを並べた最初の記録ははっきりしない。三名泉や三名園のように、文献や番付にさかのぼれる呼び名ではないためである。共通しているのは、三つとも国の名勝に指定されていること。華厳ノ滝は1931年、那智の滝は1972年に「那智大滝」の名で指定されている。

那智の滝だけは、扱われ方の筋が少し違う。景観として見られる前に信仰の対象があり、滝は飛瀧神社の御神体として古くから仰がれてきた。熊野三山のうち熊野那智大社の別宮がこの飛瀧神社で、社殿を建てず滝そのものを拝む形をとる。

三つの滝の成り立ちの違い

華厳ノ滝の水は中禅寺湖から来る。男体山の噴出物が谷をせき止めてできた湖で、その唯一の出口がこの滝にあたる。滝を落ちた水は大谷川と名を変えて下る。水量は季節によって大きく変わり、増水期と渇水期では同じ滝とは思えないほど見え方が違う。

袋田の滝は、幅の広い岩壁を水が四段に分かれて伝う。一本の柱ではなく、岩肌全体が濡れて流れる形になる。冬には凍ることがあり、氷瀑と呼ばれる。ただし全面が凍りつく年は近年では稀で、氷の脇を水が流れる姿になることが多い。

那智の滝は、原始林の中を一段で落ちる。周囲の那智原始林にはほかにも滝があり、かつて修行の場として那智四十八滝と総称された。三つのうち、高さや水量より先に拝む対象として扱われてきたのはこの滝だけである。

めぐり方のヒント

三つは栃木・茨城・和歌山にある。華厳ノ滝と袋田の滝は直線で約81kmと近く、北関東を回る旅なら続けてめぐれる。那智の滝は紀伊半島の南端近くにあり、二つからは500km前後離れているため、別の旅に分けることになる。

華厳ノ滝はJR・東武の日光駅からバスでいろは坂を上った中禅寺湖畔にあり、日光東照宮や中禅寺湖とあわせて一日で回れる。冬期は凍結や積雪で道路事情が変わる。袋田の滝はJR水郡線の袋田駅からバスまたは徒歩で向かい、券売所からトンネルを通って観瀑台へ入る。

那智の滝はJR紀伊勝浦駅からバスで那智山へ。熊野那智大社と青岸渡寺は隣り合っており、そこから石段を下りると飛瀧神社の滝見台に着く。熊野三山をめぐる旅の途中に組み込むのが自然である。見ごろは滝ごとに違い、華厳ノ滝と袋田の滝は紅葉期、袋田の滝はさらに厳寒期の氷が加わる。

よくある質問

Q. 日本三大名瀑と日本三名瀑は違うものか。

同じ三つの滝を指す。日本三大瀑布と書かれることもあり、いずれも華厳ノ滝・袋田の滝・那智の滝のことである。

Q. 落差がいちばん大きいのはどれか。

那智の滝の133mである。袋田の滝は四段合わせて120m、華厳ノ滝は97m。ただし那智と華厳が一段で落ちるのに対し、袋田は岩壁を四段に伝う滝なので、数字だけで単純に並べられない点には注意したい。

Q. 那智の滝は世界遺産なのか。

2004年7月に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産に含まれる。滝を御神体とする飛瀧神社は、熊野三山のひとつ熊野那智大社の別宮にあたる。

Q. 滝壺の近くまで行けるのはどれか。

華厳ノ滝は有料エレベーターで谷底の観瀑台まで降り、滝壺を正面近くから見上げられる。袋田の滝は観瀑台から、那智の滝は飛瀧神社の滝見台から仰ぐ形になる。

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