旅のテーマ

日本三大カルストとは

緑の草原に白い岩が点々と散り、遠目には羊の群れが草をはむように見える。四国カルスト、秋吉台、平尾台。日本を代表するカルスト台地は三つとも西日本にあり、標高も広さもそれぞれ違う。

日本三大カルストは、高知県と愛媛県の県境に横たわる四国カルスト、山口県美祢市の秋吉台、福岡県北九州市などにまたがる平尾台を指す。カルストは石灰岩が雨水に溶かされてできた地形で、名はスロベニアのクラス地方に由来する。三か所とも草原に白い岩が点在する共通の景観を持つが、標高と規模は大きく異なる。

日本三大カルスト 一覧(東から西へ)

カルスト台地名 所在地 見どころ
四国カルスト 高知県津野町 標高1,000〜1,500m、愛媛と高知の県境の尾根づたいに東西約25kmにわたって延びる高原。西から大野ヶ原・姫鶴平・五段高原・天狗高原と続き、放牧の牛が草をはむ。三か所で最も高い。
秋吉台 山口県美祢市 台地面の標高180〜420m、その面積は約54km²。すり鉢状のくぼみ(ドリーネ)が無数に並ぶ国内最大級のカルスト台地で、1964年に国の特別天然記念物へ。地下には日本三大鍾乳洞の秋芳洞が広がる。
平尾台 福岡県北九州市 標高370〜710m、台地面は約12km²。白い石灰岩柱が群れる「羊群原」の名で知られ、千仏鍾乳洞など複数の洞が口を開ける。1952年に国の天然記念物に指定され、北九州国定公園にも含まれる。

白い岩が点在する地形はどうできるのか

石灰岩は、大昔の海でサンゴや貝などの殻が積み重なってできた岩である。雨水は空気中の二酸化炭素を溶かし込んでわずかに酸性になり、長い時間をかけて石灰岩を溶かしていく。溶け残った硬い部分が地表に突き出したものが石灰岩柱で、白い岩が緑の草原に散らばる姿から羊群原と呼ばれる。逆に溶けてへこんだ部分がドリーネで、雨水はそこから地下へ吸い込まれていく。

地下に流れ込んだ水は、岩を溶かしながら空洞を広げて鍾乳洞になる。秋吉台の地下に秋芳洞、平尾台の地下に千仏鍾乳洞があるのは偶然ではない。台地の上を歩きながら足元に穴が続いていると考えると、同じ場所の見え方が変わる。

三か所とも西日本にある理由

日本のカルスト台地が西日本に偏るのは、まとまった厚さの石灰岩がそこに分布しているからである。秋吉台や平尾台をつくる石灰岩は、古生代の海でサンゴ礁として育ったものが、プレートの動きで大陸の縁へ運ばれて付け加わったものとされる。三億年ほど前の暖かい海が、いまは山口や福岡の草原になっている。

石灰岩そのものは全国にあるが、雨で溶かされた地形が広い草原として残るには、まとまった面積と、樹木に覆われない条件が要る。三か所とも古くから採草や放牧、火入れによって草原が保たれてきた点も共通している。

めぐり方のヒント

秋吉台と平尾台は直線で約68kmと近く、山陽から関門海峡を渡る旅なら二か所を続けてめぐれる。四国カルストだけは離れており、秋吉台から直線で約180km、平尾台からは約220km。四国の旅にあわせて別に組むほうが素直である。

四国カルストは標高が1,000mを超えるため、冬季は積雪で通行できなくなる区間がある。訪ねるなら新緑から秋まで。稜線を貫く道路は幅が狭く、すれ違いに気を使う区間が続くので、時間には余裕をみておきたい。

三か所とも草原に日陰がほとんどない。夏は帽子と水を持ち、朝夕の光が斜めに入る時間帯を狙うと白い岩の陰影がはっきり出る。秋吉台と平尾台は冬の終わりに草原を焼く山焼きが行われ、その直後は黒い地面に白い岩だけが残る、ふだんとは別の景色になる。

よくある質問

Q. 日本三大カルストの覚え方は。

東から順に四国カルスト(高知県・愛媛県)・秋吉台(山口県)・平尾台(福岡県)。四国・本州・九州に一つずつ、と地方で分けると三つとも取り違えにくい。

Q. カルストとはどういう意味か。

スロベニアのクラス地方(ドイツ語でカルスト)に由来する地名がそのまま地形の名になったもの。石灰岩が雨水に溶かされてできる地形全般を指す学術用語として、国際的に使われている。

Q. 四国カルストは高知県と愛媛県のどちらにあるのか。

両県にまたがる。台地は県境の尾根に沿って延びており、道路の北側が愛媛県、南側が高知県にあたる区間が続く。県境をまたぎながら歩くことになる。

Q. カルスト台地と鍾乳洞はどう違うのか。

石灰岩が溶かされてできる地形という点では同じで、地上に現れたのがカルスト台地、地下にできた空洞が鍾乳洞である。秋吉台の地下に日本三大鍾乳洞の秋芳洞があるように、両者は多くの場合セットで存在する。

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