旅のテーマ
古都奈良の文化財とは
大仏殿に見上げる仏の顔、木立の奥の朱塗りの社殿、広い空の下に広がる宮殿跡。奈良の世界遺産は、一つの寺を訪ねて終わりではない。寺社と都の跡、信仰に守られた森をつなぐと、古都の見え方が変わってくる。
「古都奈良の文化財」は、1998年にユネスコの世界文化遺産へ登録された8資産の総称である。東大寺・興福寺・春日大社・春日山原始林・元興寺・薬師寺・唐招提寺・平城宮跡からなり、すべて奈良市内にある。
めぐたびでは、このうち春日山原始林を除く7スポットを同名テーマに収録している。以下のチェックできる一覧はアプリの収録範囲であり、世界遺産の全8資産とは数が異なる。春日山原始林については後段で紹介する。
古都奈良の文化財 一覧(奈良公園周辺・ならまち・西ノ京・平城宮跡の順)
| スポット名 | 所在地 | 見どころ |
|---|---|---|
| 興福寺 | 奈良県奈良市 | 奈良公園周辺の散策から入りやすい寺。国宝館には阿修羅像をはじめとする仏像が伝わる。堂塔の外観だけでなく、像の表情や手の姿に目を向けると、古都の旅が仏像との出会いにもなる。 |
| 東大寺 | 奈良県奈良市 | 大仏殿に盧舎那仏を安置し、752年に大仏開眼供養が営まれた寺院。堂の奥に座る大仏の姿が、奈良時代の造仏事業を伝える。奈良の大仏をほかの地域と見比べたい人には大仏めぐりも旅の手がかりになる。 |
| 春日大社 | 奈良県奈良市 | 森の緑に朱塗りの社殿が浮かぶ古社。768年に御本殿が造営され、御本社として整えられた。建物だけに目を向けず、背後の山や参道の木立も合わせて眺めると、森と結びついた信仰が感じられる。 |
| 元興寺 | 奈良県奈良市 | ならまちに残る古寺で、飛鳥寺を前身とし718年に平城京へ移った。極楽堂と禅室の屋根には、飛鳥時代以来の古瓦が再使用されている。重なり合う瓦の列に目を向けると、建物が受け継いだ時間が見えてくる。 |
| 薬師寺 | 奈良県奈良市 | 西ノ京に東西の塔が立ち並ぶ寺。古い姿を伝える東塔と、1981年に再建された西塔を見比べたい。同じ伽藍の中で、守り継がれた建築と復興への歩みの両方に出会える。 |
| 唐招提寺 | 奈良県奈良市 | 鑑真が759年に戒律を学ぶ道場として開いた寺。奈良時代の金堂と講堂が残る。堂の正面に並ぶ柱と深い軒を眺めながら、大陸から渡ってきた仏教と建築の歴史に思いを向けたい。 |
| 平城宮跡 | 奈良県奈良市 | 平城京の政治の中心だった宮殿・官庁の跡。復原された朱雀門や第一次大極殿が、広い遺跡の中に立つ。現存する古建築とは違い、発掘調査で分かった都の姿をたどる場所である。 |
古都奈良の文化財が世界遺産になった理由
奈良は8世紀に都が置かれた地で、大陸との交流のなかで政治や宗教、文化が形づくられた。その歴史を今に伝えるのが、寺院の建物や仏像、神社と森、宮殿の遺跡である。世界遺産では、有名な建物を個別に集めるだけでなく、古都を構成してきた異なる要素がまとまりとして評価されている。
登録名に「文化財」とあるため建物だけを想像しがちだが、春日大社と春日山原始林がつくる文化的景観や、平城宮跡の考古学的な遺跡も含まれる。寺社を拝観する日と宮跡を歩く日では、同じ世界遺産でも見ている歴史の側面が違う。
8資産に含まれる春日山原始林とは
春日山原始林は春日大社の東側に広がる森で、841年に狩猟と伐採が禁じられて以来、神社の聖域として守られてきた。自然が豊かな場所であると同時に、人々の信仰と保護の歴史を伝える場所であり、「古都奈良の文化財」の一部として世界文化遺産に含まれている。
アプリには独立した訪問スポットとして収録していないが、世界遺産全体を知るうえでは欠かせない8つ目の資産である。森を歩く場合は、寺社の境内を巡る行程とは分け、県などの公式案内で歩ける道や通行状況を確認して計画したい。
奈良の世界遺産を地域別に巡るには
初めてなら、まず興福寺・東大寺・春日大社がある奈良公園周辺を一つのまとまりとして考える。仏像をじっくり拝観するか、社殿や境内の散策を中心にするかで必要な時間は変わるため、訪ねる場所を絞ると歩きやすい。元興寺は南側のならまちにあり、町並みを楽しむ行程に組み込める。
西ノ京の薬師寺と唐招提寺は、東側の寺社とは別のまとまりにすると巡りやすい。二つの寺を見比べる日を設ければ、塔のある伽藍と金堂を中心にした境内、それぞれの空間を味わえる。さらに北側の平城宮跡へ足を延ばす場合は、移動だけでなく遺跡内を歩く時間も確保したい。
めぐり方のヒント
7スポットはすべて奈良市内だが、一日で全部を急いで回るより、奈良公園周辺・ならまちと、西ノ京・平城宮跡を別の日に分けるのが組み立てやすい。表の順番は地域をまとめた並びであり、決まった参拝順ではない。興味のある仏像や建築を起点に、残りの場所を次の旅へつないでいくとよい。
堂内や宝物館はそれぞれ拝観時間があり、境内に入れる時間と同じとは限らない。興福寺五重塔は保存修理事業が進められているため、五重塔の外観だけを目的にする場合は公式案内を確認したい。ほかの寺社も、拝観できる堂や特別公開の有無は訪問前に確かめておく。
平城宮跡は広い屋外の遺跡で、復原建物の間にも移動がある。公園の案内図で見たい場所を決め、日差しや天候に合わせて休憩を挟みたい。東大寺を訪ねて大仏の違いに興味が湧いたら、奈良・鎌倉・牛久などの大仏めぐりから次の旅先を探せる。
よくある質問
Q. 法隆寺も「古都奈良の文化財」に含まれるのか。
含まれない。法隆寺は法起寺とともに、1993年登録の別の世界遺産「法隆寺地域の仏教建造物」に含まれる。同じ奈良県の世界遺産でも登録のまとまりが違う。
Q. 平城京跡と平城宮跡は同じ意味なのか。
平城京は都全体を指し、平城宮はその中の天皇の宮殿や政治を行う施設が置かれた区域を指す。この世界遺産の構成資産名は「平城宮跡」である。
Q. 元興寺はどちらを訪ねればよいのか。
奈良市には、極楽堂と禅室のある中院町の元興寺と、塔跡を伝える芝新屋町の元興寺がある。このページとアプリで紹介しているのは、極楽堂と禅室を拝観する中院町の元興寺である。
Q. 世界遺産に登録された建物はすべて奈良時代のままなのか。
そうではない。後世に再建・修復された建物もあり、平城宮跡では発掘調査などをもとにした復原建物を見学できる。いつの時代の姿を見ているかも合わせて確かめると、保存や復興の歴史が分かる。
古都奈良の文化財を、アプリで集める。
めぐたびは、旅に「行く理由」を与えるテーマ別に全国のスポットを発見・記録・収集する無料アプリ。古都奈良の文化財をはじめ73のテーマを収録。行ったことのあるスポットをタップするところから。登録も入力も不要で、いくつ踏破しているか分かります。